【要注意!】自宅を売っても住み続けられる?「リースバック」契約の落とし穴と国民生活センターからの警鐘
「自宅を売却してお金は手元に欲しいけど、住み慣れた家には住み続けたい…」
そんな都合の良い話があるのでしょうか? 実は、そんなニーズに応えるかのように近年注目されているのが「リースバック」という契約です。しかし、このリースバック、安易に飛びつくと後悔することになりかねません。
今回は、国民生活センターが緊急で注意喚起を行うほど問題が顕在化している「リースバック契約」について、その仕組みからメリット・デメリット、そして特に知っておくべき注意点まで、分かりやすく解説します。また、よく混同されがちな「リバースモーゲージ」との違いも明確にします。
1.リースバックって何? 知らない人のための基礎知識
リースバックとは、「セール&リースバック」とも呼ばれる不動産取引の一種です。簡単に言うと、
「今住んでいる自宅を不動産会社などの第三者に一旦売却し、その売却代金を受け取る。そして、売却したはずのその自宅を、今度はその不動産会社から賃貸契約を結んで借り、賃料を支払いながら住み続ける」
という仕組みです。
つまり、自宅の**「所有権は失うけれど、住む権利は得る」**という形になります。
2.リースバックとリバースモーゲージ、どう違うの?
「自宅に住み続けながら資金を調達できる」という点で、リースバックとよく似た金融商品に「リバースモーゲージ」があります。しかし、この二つは全くの別物であり、仕組みを混同すると大きなトラブルに繋がりかねません。
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比較項目 |
リースバック (Sale & Leaseback) |
リバースモーゲージ (Reverse Mortgage) |
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自宅の所有権 |
売却により、第三者に移転する |
契約後も、自宅の所有権は自分(契約者)が持ち続ける |
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資金の性質 |
自宅の売却代金として、まとまった現金を一括で受け取る |
自宅を担保に、金融機関から借入を行う。年金形式で毎月受け取ったり、一括で借り入れたりする。 |
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居住形態 |
売却後、賃貸借契約を結び、賃料を支払って住み続ける |
契約後も、自宅にそのまま住み続ける |
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返済方法 |
基本的に売却代金なので返済は不要。ただし、賃料は発生する |
契約期間中(契約者死亡時など)は利息のみ支払い、最終的に自宅を売却して元金と利息を一括返済するのが一般的 |
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主な利用者 |
高齢者だけでなく、事業資金や教育資金など、まとまった現金が必要な全年齢層 |
主に高齢者で、老後の生活費などを確保したい方 |
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リスク |
賃貸借契約の更新拒絶、賃料高騰、買い戻し困難など |
不動産価格下落による担保割れ、金利上昇、自宅売却での返済不可など |
まとめると、
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リースバックは「自宅を売却して、家を借りる(賃貸する)」
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リバースモーゲージは「自宅を担保に、お金を借りる」
という、根本的な違いがあることを覚えておきましょう。
3.知っておきたい!リースバックのメリットとデメリット
リースバックは、お金が手に入って住み慣れた家にも住める、という魅力的な面がある一方で、安易に利用すると大きなリスクを伴います。
リースバックのメリット
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まとまった資金をすぐに得られる: 急な出費や老後の生活資金、事業資金など、まとまった現金が必要な場合に自宅を売却して資金を調達できます。
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住み慣れた家に住み続けられる: 引っ越しの手間や費用をかけずに、現在の生活環境を維持できます。
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自宅の維持費(固定資産税など)が不要になる: 所有権が移るため、固定資産税や都市計画税などの税金、建物の修繕費用は売却先が負担します。(ただし、賃料は発生します)
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周囲に知られにくい: 一般の不動産売却とは異なり、内覧対応などが不要なため、近隣に売却を知られにくいケースが多いです。
リースバックのデメリット
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所有権を失う: 最も大きな点です。一度売却すると、その家は自分のもの(資産)ではなくなります。将来的に子どもに引き継ぐことなどはできなくなります。
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賃料が発生する: 今まで住宅ローンを払っていた方も、今度は賃料を毎月支払うことになります。一般的に、売却価格に対して賃料が高めに設定される傾向があります。
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賃貸期間に制限がある場合も: 賃貸借契約には期間があり、契約の更新ができない場合や、賃料が大幅に値上がりして住み続けられなくなるリスクがあります。
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買い戻しができない、または高額になる: 将来的に買い戻したいと思っても、特約がない場合や、買い戻し価格が非常に高額に設定されている場合があり、結果として買い戻しが困難になることがあります。
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業者選びが非常に重要: リースバック業者は多数あり、中には不透明な契約内容や、不当な条件を提示する業者も存在します。
4.国民生活センターからの「警鐘」!
まさに、上記のデメリット、特に**「本当に『そのまま“ずっと”住み続けられる』契約ですか?」**という点が、国民生活センターが強く警鐘を鳴らしているポイントです。
2025年5月21日付で発表された国民生活センターの注意喚起では、以下のような事例が報告されています。
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「ずっと住み続けられる」と説明されたのに、更新を拒絶された。
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賃料が大幅に値上げされ、支払えなくなった。
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買い戻しの約束が果たされない、または高額で買い戻せない。
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契約内容が複雑で分かりにくく、よく理解しないまま契約してしまった。
これらのトラブルは、売却後の賃貸借契約について、都合の良い説明だけを鵜呑みにしたり、契約内容を十分に理解しないまま安易に契約を結んでしまった場合に発生しています。
特に注意すべきポイント:
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賃料の金額と更新時の賃料変動の可能性: 売却後に支払う賃料は適正か? 更新時に賃料が値上げされる可能性はないか? 事前にしっかり確認しましょう。
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賃貸借契約の期間と更新の有無: 何年住めるのか? 契約更新は保証されているのか? 契約終了後に退去を求められる可能性はないか?
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買い戻し特約の有無と条件: もし将来買い戻したい場合、その条件は現実的か? 買い戻し価格はいくらになるのか?
リースバックは、一時的に資金を得る有効な手段となり得ますが、**「自宅の所有権を手放す」**という非常に重い決断を伴います。安易に「そのまま住み続けられる」という言葉だけを信じず、契約内容の隅々まで確認し、少しでも疑問があれば立ち止まって考えることが重要です。
最後に:専門家への相談を強く推奨します!
リースバックを検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、契約内容を徹底的に比較検討することが不可欠です。そして、何よりも重要なのは、契約書に署名する前に、必ず弁護士やファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタントなど、利害関係のない第三者の専門家に相談することです。
トラブルに巻き込まれないためにも、十分な情報収集と慎重な判断を心がけましょう。